February 21, 2012

CAMERA TALK



どうしてデジタルカメラは フィルムカメラと
同じ形をしていなければならないのだろう?

ポロライドカメラ以降 自分にぴったりとくるカメラが見つからなかった。
正方形フォーマットのフィルムカメラを買ってみて
ポラロイドが いかに(ぼくにとって)優れた機械だったかを思い知った。
うまく撮れているかどうか その場で確認できなければ
素人のぼくには 写真撮影など まったくのお手上げなのである。

ならばデジタルカメラが良いのかといえば これがぜんぜん楽しくない。
ファインダーを覗かずに写真を撮るという感覚が身体に馴染まなかった。
だからといって 外付けのファインダーを使うのも面倒だった。
デジタルカメラがフィルムカメラと同じ形をしているから
すべてのことがしっくりこないと気づいたのは わりと最近のことだ。

新しい映像記録装置として まったく別の形や操作性を与えられていれば
フィルムカメラとの比較をする必要なんて 感じないのではないか。

ぼくはいま『暮しの手帖』の連載を すべて iPhone 4S で記録している。
1ページの大きさに拡大して印刷しても 何ら問題がないのには驚いた。
でも iPhone 4S は(ぼくにとって)カメラではない。
いま起きたことや いま見たものを 画像として記録してくれるが
それをカメラと呼ぶのはおこがましいし 勘違いのもとになるだろう。
だから 連載のクレジットに「写真」と書かれてあることに
ちょっと居心地の悪さを感じている。

ぼくは写真家ではないし 上手にカメラを扱うこともできないから
カメラではなく iPhone 4S を選ぶのが賢明と考えただけである。
自由にフットワーク軽く ひとりで動き回りたかったのである。

この新しい記録装置には その新しさに相応しい形があるのに
まだ新しい名前を与えられていない。
誰かが早急に考えるべきだと思う。これはカメラではない。