September 26, 2012

CAL. IN SEP.


根津から千駄ケ谷に戻る前に寄り道をした。行く先は田原町で 帰る方向とは反対だから それを寄り道と呼ぶのは強引かもしれないが 出かけるときには考えていなかったことなのでそう書くことにする。

根津で友人と昼食の約束があった。中華料理店を予約してくれたのだそうだ。でも店の前まで来てみると 昼食の予約をするなんて 友人にとっても店の人にとっても初めてなんだろうなと容易に想像がつく 気取りのない町の小さな中華屋だった。ハム炒飯と五目焼きそばとトマトの炒め物を頼んだ。

友人が「旅のみやげです」と言って渡してくれた紙袋を開けると 小さな瓶に詰められたジャムが入っていた。「CAL. IN SEP.」とスタンプを押された白いラベルが貼られている。彼が旅先のファーマーズマーケットで買った3種類のプラムとレモンを 泊まっていたモーテルのキッチンにあった小さな鍋で炊いてつくったものだそうだ。

彼と奥さんの旅の様子はインスタグラムにアップされる写真で見ていた。それは毎朝 家のポストに絵葉書が届くような感覚だった。その中にたしかにジャムを炊く写真もあったかもしれない。そのジャムが自分の手許にくるとは思っていなかったから とても嬉しかった。

このジャムを食べるなら 東京でいちばん好きな角食を用意しなければならない。だから「ペリカン」へ寄ることにしたのだ。友人も一緒に行くというので 根津から不忍池の横を通って御徒町まで歩き そこから地下鉄に乗って田原町で降りる。ちょうど焼き上がったばかりの角食が棚にあって まだ熱過ぎて切れないようなので 1本まるまる買うことにした。

さっき ペリカンの角食を焼いて友人のジャムをつけて食べた。とても美味しく そして教えられることの多いジャムだった。