April 29, 2011

ABSTRACT



東京国立近代美術館で「生誕100年 岡本太郎展」が
華々しく開催されている同じ時期に
横須賀美術館で「生誕100年 川端実展」が開かれているのは
もちろん この二人が同じ1911年の生まれだからだ。
東京美術学校西洋画科の 藤島武二の教室で学んだ同級生。

二人の作品を対比させて何かを語りたいわけではない。
ただ ひっそりと静まり返った横須賀美術館の
広い展示室中央に置かれたソファに座り
「長方形 赤」というタイトルの絵を眺めていて
国立近代美術館は 今日もきっと混雑しているのだろうなと
ふと思ったのだ。

その絵は タイトルの素っ気なさのとおり
何かが具体的に描かれているのではないが
その前から動けなくなってしまうような
赤という色の純粋な美しさを持っていて
絵の前に座り込んで 少なくとも
10分や15分を費やすべき類いの作品だった。

「孤高」というのは 実にイカした言葉だと思う。