July 23, 2011

NOT A LITTLE GIRL ANYMORE


リンダ・ルイスの名前をはじめて知ったのは
中村とうようの文章を読んだときだった。
それがこのアルバムについての話だったかどうかは忘れている。

ぼくは中村とうように会ったことはない。
コンサート会場などで見かけたことも たぶん ない。
だから 尊敬はしていても ここでは敬称をつけない。
それは "夏目漱石さん" と書かないのと同じ理由だ。

中村とうようはぼくの音楽とのつき合い方に
多大な影響を与えた偉人であると書こうと思い
いろいろ考えているうちに気づいたことがある。

あなたが雑誌を編集する上で影響を受けた雑誌は何か?
ときどき受ける その類いの質問に対して
植草甚一責任編集と謳っていた時代の『宝島』や
二色刷りだった頃までの『ハッピーエンド通信』などを
挙げるのが常だった。
でも 本当は 真っ先に『ニューミュージック・マガジン』と
ぼくは答えるべきだったのではないだろうか。

高校への通学路にあった「三木薬局 書店部」という店で
ウッドストックフェスティバルの特集号を手にして以来
どんなに金がないときでも この雑誌だけは欠かさず買い続けた。

音楽を入口にして その背景にまで
読者の興味を導くことのできる広い視野と深い知識。
自説は曲げないけれど 意に沿わない相手を排除しないフェアネス。
憎まれ役をかってでも 周囲を鼓舞し続けるリーダーシップ。
雑誌の編集長を務めるにあたって必要なことのすべてを
ぼくは 知らないうちに 中村とうようから学んでいたのだと思う。
(もちろん 決して ぼくにもそれが出来たという意味ではない)