February 28, 2011

AFTERNOON TEST


会場に爆音で鳴り響く電子音楽。
曲が終わってもアンコールの拍手がわかなかったのは
みんなとても遠い世界に連れていかれ
我に返るまでに時間がかかったからなのだと思う。
しんと静まる中 ステージに戻ってきたヤンさんが
アコースティックギター1本で
大野由美子と「窓から」という曲をデュエットする。
それが ドゥーピーズの「Trough My Window」だとは
すぐには気づかなかった。

建物の外で友人が出てくるのを待っていたら
ひょっこりとヤンさんが現れた。
少しだけ立ち話をする。
最後が弾き語りとは思わなかったと言ったら
「キザだった?」と ヤンさんは笑った。

February 25, 2011

BIRD ON A WIRE


チェンマイの日本語情報紙を読んでいて
古都景観保護のため
ターペー通りとチャーンクラン通りで
電線を地下に埋設する計画があることを知る。
いまのところ 工事が開始される気配は
まったくないらしいのだが…。

その日の夕方に見上げたチェンマイの空は
いつにも増して切なかった。
そして「電線の鳥」を無性に聴きたくなった。
レナード・コーエンだけでなく ティム・ハーディンも。

February 23, 2011

SOMEONE LIKE YOU


この世には あなたに似た人が何人いるのだったか。

前にチェンマイ駅の近くにある
たまたま見かけただけのコーヒー屋の話をしたら
その後にわざわざそこへ行った人がいて
「マスターがあなたにそっくりだった」と言う。

もともと良い感じの店だったので
さらに興味が湧いてきて覗いてみたくなった。

念願は昨日の午後にかなった。

彼女の頭の中の人物ファイルにおいて
ぼくがどういうジャンルに分類されているかが
とても良くわかったし
同行の友人たちやカミさんも
わかるわかると笑っていた。

でも 似ていたかどうか
ぼくには質問しないでほしい。

February 18, 2011

DRUNKARD


吉田健一『金沢』の読み方を間違えてしまったようだ。
そのことをどこかに書かなくては。

February 16, 2011

WATTS TOWERS


大きさは何を尺度にして感じるのかという話。

ワッツタワーに行かなくてはダメと
ぼくの背中を押してくれたのはクリスティーナだ。
たくさんのインスピレーションを与えてくれる
ロサンゼルスでいちばん大切な場所と いつも話していた。

向こうにワッツタワーが見えてきたとき
想像よりも低い塔だったので
思わず「小さいね」とクリスティーナに言ったら
小さいですって?
というような顔をされた。

解説つきの見学ツアーを申し込み
柵の中に入って タワーを間近に見上げる。
足下には 拾い集めた陶器のかけらや
割れたコーラの瓶などを使った装飾が
びっしりと施されている。
不揃いだけれど 美しいモザイク模様。

重い鉄骨をひとりで運び
かけらのひとつひとつを丹念にセメントで固めていく
イタリア系移民の貧しい左官工
サイモン・ロディアの姿を想像して クラクラした。

やっぱりワッツタワーは とてつもなく大きいよ。

そう言うと クリスティーナは
嬉しそうに微笑んだ。

February 15, 2011

DRIFTWOOD SHACK


金沢のバーのトイレに ハル・アシュビーの
『ハロルドとモード』のポスターが貼ってあった。
ちょっと嬉しくて 携帯で写真を撮り
思わずツイートしたのだが
知り合いから
「トイレで写真を撮る姿を想像したら笑った」と
言われてしまった。
たしかにご指摘のとおり。でも
トイレに面白いものを置いておく店があるのだから
仕方がないではないか。

サンフランシスコの『OUTER LANDS』のトイレに
置いてあった ZINE らしきもの。

DRIFTWOOD SHACK ENTHUSIAST QUARTERLY

「季刊 流木小屋狂」とでも訳すのか。
良く見ると 流木を並べてつくったタイトルのスペルが
違っているようだ。
それが中味も面白いことを保証しているような気がした。

以来 ずうっと探しているのだけれど
いまだに見つからない。

February 14, 2011

SUNSET


考えていたことの半分もできなかったけれど
良い日曜日だった。

February 13, 2011

FOUND PHOTO


今日はアンリ・サルヴァドールの命日だ。

好きなミュージシャンが亡くなるたびに
追悼めいたことを口にするのは流儀ではないけれど
ぼくにとって アンリは本当に特別な存在である。

カジノくんとこの日にワインを飲みながら
アンリを偲ぶのは 今年が三度目。
いつもの店が日曜日は定休だから
ぼくらは昨日の夜に押し掛けていって
ペタンクの栓を抜いてもらった。
アンリが愛したゲームと同じ名前のワイン。

カジノくんはアンリの南仏の別荘に行ったことがある。
本当はぼくが行くはずだった。
アンリが初来日公演を果たすことになり
パリでの取材が許可されたのだが
話は思わぬ方向に転がっていき
インタビューと撮影は別荘で受けるという連絡が来た。
その場所での取材は TF1 しか許されたことがない。
何という幸運。
でも 日程が決まってみると 見事に別の取材と重なった。
何という悲運。
ぼくはホンマタカシさんとロサンゼルスへ向かい
アンリの別荘には カジノくんに行ってもらった。

ワインの酔いが十分にまわってきた頃合いに
カジノくんが鞄の中をゴソゴソと掻きまわし
街の写真屋がサービスでくれるような
薄っぺらいアルバムを引っぱりだした。

古い写真を整理していたら出てきたんです。

ピアノを弾くアンリ
デッキチェアに寝そべるアンリ
クルーザーに乗るアンリ
そしてペタンクの競技会で獲得したたくさんのトロフィー。
最後の一枚は
別荘のポーチからこちらに向かって手を振るアンリだった。

さんざん楽しい話をして大笑いをし
杯を重ねた後でなかったら きっと泣いてしまっていただろう。

February 11, 2011

SORROW


前に福岡の『あまねや工藝店』で偶然に目にしたとき
ぼくは立花英久のファンになった。

とはいえ ただ一度きり観ただけだから
記憶に残っている像を ぼんやりと
頭に思い浮かべることしかできない。
ファンになったつもりでいたと言うほうが
正しいのかもしれない。

数日前 郵便受に絵葉書が届いた。
灰色の中に悲しそうに佇む女性の胸像。
裏返さなくても それが立花英久の作品だとわかる。
どうして『サボア・ヴィーブル』から
カミさん宛に個展案内が届くのかわからないけれど
この知らせがなければ
立花英久の作品をふたたび観る機会は
もっと先になっていただろうから
カミさんに感謝しなくてはいけない。

新作は 福岡で展示されていた像とは素材が違っていた。
はじめての試みだそうだ。
素材が変わることで 変わった部分と
それでも変わらない部分とがある。
記憶の中の像と 目の前の像とを比較しながら
考えをぐるぐるめぐらせていくうちに
目の前の像さえ 残像のように儚いものに見えてきた。

あらためて ぼくは立花英久のファンになった。

立花英久展「カナシミ」
二月十七日まで
六本木 AXIS ビル三階『サボア・ヴィーブル』にて

February 9, 2011

SATSUMA


ジューン・テイラー・カンパニーから荷物が届いた。
開けてみると 注文したものの他に サンプルが同封されていた。

"DOBASHI-BENI SATSUMA MARMALADE"

カリフォルニアでサツマと言えば 温州みかんのことを指す。
明治の初頭に アメリカ人外交官が鹿児島から持ち帰った苗木が
フロリダからアラバマやルイジアナへ
そしてカリフォルニアへと広まっていった歴史に由来する。
彼女が送ってくれたのは「土橋紅温州」のマーマレードなのだ。

バークレーにある彼女の店にはじめて行ったとき
そこに並んでいた九種類のマーマレードをすべて買った。
そして彼女に質問した。

サツマのマーマレードは作らないのですか?

あの美しい活版印刷のラベルに "SATSUMA" と書いてあったら
どんなに嬉しいことだろうと思ったからだ。

カリフォルニアのサツマは マーマレードにするには
ちょっと弱いところがあるというのが
そのときの彼女の答えだった。

ジューン・テイラーのサツマ マーマレード。
夢のまた夢なのかと諦めていたものが
小さな瓶に詰められて いま ぼくの目の前にある。

February 8, 2011

VERMILION


ひがし茶屋街で朱色の壁を眺めていて
吉田健一が 毎年二月になると
必ず金沢を訪れていたというエピソードを思い出した。
そして ずいぶん昔から
いつか自分もこの町を訪ねてみたいと願っていたことも。

どうして忘れていたのだろう。

"その遠くの下に犀川が流れるのを見ていると
少くともこの町にいる人間が
時間がたたせるものではなくて
たつものであることを知っていて
その時間が二つの川とともに
前からこの町に流れているという気がした”

吉田健一『金沢』再読のとき。

February 7, 2011

EGGS OVER EASY


ホテルの最上階にあるフレンチレストランで朝食。
きっと他の泊まり客は 和食を食べに他の階へ行っているのだろう。
空いていて 朝日が射し込んで 一日の始まりとして申し分ない。

目玉焼きは両面を焼いてもらうのが好きだ。
英語で EGGS OVER EASY と呼ぶことを知ったのは
同じ名前のバンドのレコードを買ったときのこと。
たしかプロデューサーはリンク・レイで
アリゾナ州ツーソンで録音したのじゃなかったか。

この写真のくらい固く焼けているのは
OVER WELL か OVER MEDIUM と呼ぶそうだ。

February 6, 2011

YOU ARE WHAT YOU EAT


YOU ARE WHAT YOU TWEET.
食べてばかりのぼくは ときどきちょっと恥ずかしくなる。
のどぐろの塩焼き。
野町の『寺喜屋』にて。

February 4, 2011

PEANUTS


家にあるピーナツでいちばん好きな表紙。
日本語版は持っていない。
谷川俊太郎はどう翻訳したのかな。

すべり込め
チャーリー・ブラウン
すべり込め

この表紙を見るたびに
ぼくのアタマに浮かぶのは

志村ーっ
うしろ うしろーっ!

February 3, 2011

KITCHEN DEITY


千駄ケ谷の鳩森神社で荒神札を買った。
飲食店などでいろいろな荒神札を見かけるが
気になるものが多い。

February 2, 2011

OUT TO LUNCH


なんとか定食とか なんとかランチに弱い。
スペシャルなんとかにも弱い。
しかも店名にランチって入っている
西荻窪『冨士ランチ』にて
スペシャルランチを待つ幸せな時間。

February 1, 2011

CORITA!


ポラロイドフィルムがないので
ここからは iPhone でやってみることにした。