大きさは何を尺度にして感じるのかという話。
ワッツタワーに行かなくてはダメと
ぼくの背中を押してくれたのはクリスティーナだ。
たくさんのインスピレーションを与えてくれる
ロサンゼルスでいちばん大切な場所と いつも話していた。
向こうにワッツタワーが見えてきたとき
想像よりも低い塔だったので
思わず「小さいね」とクリスティーナに言ったら
小さいですって?
というような顔をされた。
解説つきの見学ツアーを申し込み
柵の中に入って タワーを間近に見上げる。
足下には 拾い集めた陶器のかけらや
割れたコーラの瓶などを使った装飾が
びっしりと施されている。
不揃いだけれど 美しいモザイク模様。
重い鉄骨をひとりで運び
かけらのひとつひとつを丹念にセメントで固めていく
イタリア系移民の貧しい左官工
サイモン・ロディアの姿を想像して クラクラした。
やっぱりワッツタワーは とてつもなく大きいよ。
そう言うと クリスティーナは
嬉しそうに微笑んだ。