February 8, 2011

VERMILION


ひがし茶屋街で朱色の壁を眺めていて
吉田健一が 毎年二月になると
必ず金沢を訪れていたというエピソードを思い出した。
そして ずいぶん昔から
いつか自分もこの町を訪ねてみたいと願っていたことも。

どうして忘れていたのだろう。

"その遠くの下に犀川が流れるのを見ていると
少くともこの町にいる人間が
時間がたたせるものではなくて
たつものであることを知っていて
その時間が二つの川とともに
前からこの町に流れているという気がした”

吉田健一『金沢』再読のとき。