東京国立近代美術館で「生誕100年 岡本太郎展」が
華々しく開催されている同じ時期に
横須賀美術館で「生誕100年 川端実展」が開かれているのは
もちろん この二人が同じ1911年の生まれだからだ。
東京美術学校西洋画科の 藤島武二の教室で学んだ同級生。
二人の作品を対比させて何かを語りたいわけではない。
ただ ひっそりと静まり返った横須賀美術館の
広い展示室中央に置かれたソファに座り
「長方形 赤」というタイトルの絵を眺めていて
国立近代美術館は 今日もきっと混雑しているのだろうなと
ふと思ったのだ。
その絵は タイトルの素っ気なさのとおり
何かが具体的に描かれているのではないが
その前から動けなくなってしまうような
赤という色の純粋な美しさを持っていて
絵の前に座り込んで 少なくとも
10分や15分を費やすべき類いの作品だった。
「孤高」というのは 実にイカした言葉だと思う。