May 19, 2012

DESIGNING?



毎年 福岡で開催されている <DESIGNING?> を見てきた。今年が8回目だそうだ。デザインのイベントといえば 正直に言うと ぼくには「あちこち分散した展示会場をスタンプラリーみたいにしてまわったり 著名人のパネルディスカッションみたいなことが中心の ちょっとスカした あれだよね」というような印象しかない。ところが ほんの1日半だったけれど 実際にこの目で見た <DESIGNING> は 格好をつけることに苦心するみたいな本末転倒は見受けられず 暑苦しい熱意をも隠そうとしない 真直ぐな気持ちの良いイベントだった。
中でもすごく感銘を受けたワークショップがあった。とはいえ 実際に参加した訳でもないし ワークショップの様子を見学できた訳でもなく 成果物としての椅子と照明を眺めただけなのだ。それでも とても健全な考え方だなと思えるほどに素晴らしい内容だった。
ロンドンを拠点に活動するヴァハカン・マシアンというアーティスト/デザイナーと ファビアン・カペッロというプロダクトデザイナーの2人が 福岡の市内をまわり家具の材料となり得る廃材を集めてくる。それを使って参加者が家具をつくるというのがワークショップの内容だ。長さも太さも不揃いの角材や板の切れ端がほとんどのようだった。家具をつくるにあたって ヴァハカンとファビアンはルールを2つ設けた。材料を切ってはいけない。1種類の長さのネジしか使ってはいけない(何ミリのネジだったかを忘れてしまった)。となると椅子をつくろうにも 相当に不格好なものにならざるを得ない。でも 展示されていたワークショップ参加者たちがつくった椅子は どれもとても魅力的な形をしていたのだ。角材を組み合わせて 座るという用途を満たす家具をつくろうとする過程で きっと参加者たちは 自分が愛せる形を思い浮かべながら手を動かし 頭を働かせたに違いない。デザインはそういうところから生まれたのではなかったか。
時間がなくて 彼ら2人と話すことができなかったのはとても残念だった。でも まったく根拠はないが いつか彼らに会える日が来るような気がする。
*ヴァハカン・マシアンのユニークなプロジェクト「FRUIT CITY」のウェブサイト http://fruitcity.co.uk/