May 11, 2012

TUTTO BENE



夕食のために友人が挙げてくれた選択肢が3つ。その中から 年齢が若くて開店から1年も経っていないという理由で <オステリア ベーネ> に決めた。日が沈んでから急に冷えてきたのに 買い物公園のはずれのビルの3階にある店に入ると窓が開いている。鱒をスモークしていたのだと言う。テーブルに運ばれた黒板にはびっちりとメニューが書き連ねてあった。鱒のスモークはサラダ仕立てで出てくるようだ。鱒だけが食べたかったので それが可能かを尋ねると シェフは快く応じてくれる。良い店に来たと思った。

スパークリングワインをグラスで飲んでから ヴェネツィアの白ワインをボトルでもらう。前菜はアスパラガスのグリル。リゾットとパスタはどちらも食べたかった。魚料理が評判と友人は言っていたが 肉を食べたい気分だったので豚ロースのソテーにするつもりでいる。リゾットはズワイガニとフレッシュトマトに即決したのに パスタは選びきれず シェフにお任せすることにした。彼は厨房からチーズを持ってきた。江丹別の生産者がつくるブルーチーズを使ってゴルゴンゾーラと鴨ローストのフェットチーネにしますと言う。ぼくはブルーチーズが苦手なのだが 彼が考えた流れだから仕方がない。友人との取り分けだったし ちょっと味見をするだけにしよう。ところが できあがったものをひと口ほおばると とてもまろやかで美味いのだ。きっちりと半分にわけた。白ワインがまだ半分近く残っていたけれど グラスの赤をもらう。豚のソテーはポルチーニソースがかかっていた。これも赤で。残った白のために もうひと皿をお任せでとお願いすると タコとクロソイのカルパッチョが出てきた。さすがに満腹になった。でも デザートも食べたしエスプレッソも飲んだ。

増毛の鱒に 富良野のアスパラガスに 江丹別のブルーチーズに 上川の豚肉に 噴火湾のタコに 根室のクロソイに…。ぼくは その土地ならではの食材を自分の知っている料理にしてくれる店が好きだ。この店の料理は まず素材があって そこから毎日のメニューを軽妙に組み立てている。素材の扱いはとても上手だと思うし イタリアンこうあるべしという考えにこだわる様子もない。そこに自由さが感じられて とても良い気分だった。