ポラロイド690を使い始めたのは たぶん1999年だったと思う。その頃 渋谷のビックカメラで "投げ売り" と言っていいような安い値段で売られていたのだ。それまではスペクトラとジョイカムで撮っていた。意外に思われることが多いのだが ぼくはSX-70を使ったことが一度もない。
ひとりでフリーペーパーをつくる必要にかられ 690を買った。デジタルカメラも持ってはいたけれど まだまだフィルムで撮影することが主流で 進行ギリギリで印刷物をつくるには ポラロイドカメラがいちばん便利だった。少なくとも当時のぼくは そう考えていた。そのうちに 正方形フォーマットのフィルムで撮ることがどんどん楽しくなってきて ブログを始めた2004年前後から 相当の量を撮るようになっていた。
昨日 ポラロイド600フィルムの最後の1枚を撮った。このフィルムは 今年の2月に 友人の "THE LAST FRENCH MAN" がくれたものだ。そのときにもらった2箱のうち 使用期限が切れてから長い時間が経っているほうを使ってみたら 案の定 ほとんど色が出なかった。もうひとつのほうは比較的 新しかったので 何かのときにと 冷蔵庫にしまっておいた。
「フィルムがなくなりそうだ」とツイッターでつぶやくたびに 友人や知人がプレゼントしてくれたから 店頭からフィルムが消えてしまった後も撮ることができていた。でも これが最後だ。先月 サンフランシスコへ行ったときに 同行者が "IMPOSSIBLE" のフィルムをくれた。すぐに試して すべて失敗した。シャッターを押してカメラ本体から出てきたフィルムを 感光させないためにシェードをかけるという 正しい使い方を知らなかったためだが そこまでしてこの先もポラロイドで撮影したいのだろうかと自問自答した。そして 冷蔵庫の中のひと箱を潮時にしようと決めた。
1枚だけ失敗してしまったので 全部で9枚。この数日の間に鹿児島で撮った。カメラは680だ。手持ちの690はすべて毀れたまま放ってある。
さよならポラロイド。
いままでどうもありがとう。