三月の終わり 銀座 <ggg> で開かれた立花文穂展を
会期最終日に滑り込みで観にいったとき
『クララ洋裁研究所』が出版された際につくられた
小さなフリーペーパーが展示してあった。
もちろん デザインしたのは立花文穂である。
美しい写真も彼が撮影したものだったはず。
問題なのは そこに載っていた酷い文章だ。
その文章が妙に目立っていて
つい読んでしまうように置かれていたと思うのは
それを書いたのが ぼく自身だからなのだろう。
誰も気にかけず読まなかったに違いないが
何年ぶりかでその駄文を目にしてしまったぼくは
フリーペーパーをどこかに隠したい気持ちになった。
人やその作品の魅力を文章にして伝えるのはとても難しい。
帰り道 並木通りの <空也> に何となく寄ってみたら
いつもは何日も前から予約しておかないと買えない
名物の空也もなかが あっさりと手に入ったものだから
その幸運に 落ち込んだ気分もすぐに快復し
以上のようなことは すっかり忘れ去っていたのだ。
一昨日 個展のときに申し込んでおいた
立花文穂の作品集『風下』が届いた。
その本に添えられた 兄である立花英久の文章が
あまりに素晴らしかったので
またあらためて あの駄文のことを思い出してしまった。